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わが国の学校検尿の医学的な成果は内外から高く評価されています。たとえば、最近の調査によると、小児期に発症する慢性糸球体腎炎の約70〜80%が、学校検尿で無症状のうちに発見されていると報告されています。
そして、学校検尿で発見された慢性糸球体腎炎は、浮腫や食欲不振などの症状が起こってから診断されたものに比べて糸球体の病変は明らかに軽く、適切に生活管理や治療を与えると、症状が起こってから診断された場合よりも予後がよいことも明らかにされています。
そして、学校検尿が全国的に普及した昭和54年頃から、慢性糸球体腎炎で小児期に腎不全に陥る子どもが減少しているといわれており、これも学校検尿による慢性腎疾患の早期発見と関係があると信じられています。
腎臓病で入院する子どものうちでもっとも多いのは、原発性糸球体腎炎およびネフローゼ症候群で60〜70%を占めています。そして次に多いのが続発性腎炎および尿路感染症ですが、いずれも全体の約10%にすぎないといわれています。
そして、腎炎・ネフローゼ症候群で入院してくる子どもたちが、どのような臨床症状で入院してくるかというと、学校検尿などで血尿や蛋白尿が発見されて入院するものや、ネフローゼ症候群を呈して入院するものなどがもっとも多くて、いずれも全体の40%を占めており、急性腎炎様の症状を呈して入院するものは、全体の約12%にすぎないといわれています。
いいかえれば、学校検尿で血尿や蛋白尿が見出されてはじめて腎炎であることがわかり、入院してくるものがかなり多いということです。このような無症状のうちに見出された腎炎はむくみや肉眼的にわかる血尿、高血圧などの症状によって腎炎であることがわかって入院してきた子どもたちに比べると、軽いものが多いといわれています。
学校検尿を侮らず、正しい方法で検尿を行い、腎疾患と診断されたら、すぐ治療を開始、生活管理を心がけなければいけません。
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