人工腎臓による血液透析や腹膜透析について教えて下さい。

腎炎で尿に蛋白質や赤血球が漏れでているということは、それほど大変なことなのでしょうか。

血尿や蛋白尿がわずかな場合、そのこと自体は体に大きな影響を与えません。そして、自分ではなにも異常を自覚しないのが普通です。腎臓は、比較的余裕をもって働いているので、少しぐらい血尿や蛋白尿を生じるような障害を受けても、排泄臓器としての機能はすぐには低下しないのです。 　しかし、糸球体腎炎の場合は、腎臓の病変が強くなると血尿や蛋白尿が大量に排泄されるようになります。そうなると、腎臓の血管のなかの血液の流れが悪くなり、糸球体における老廃物や水分の排泄がうまくできなくなります。
　腎臓は、からだにとってもっとも大切な、老廃物を排泄する臓器ですから、腎臓で瀘過の役目をする糸球体が病気におかされると、体内に老廃物（尿素窒素やクレアチニンなど）が蓄積します。こういう状態が強くなった場合を尿毒症あるいは腎不全といい、しばしば血圧が上昇します。
　腎臓病で気をつけなければならないのは、血尿や蛋白尿そのものより、尿をつくる腎臓の働きが次第に低下して、腎不全や尿毒症になっていくことです。

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膜性増殖性腎炎とはどんな腎炎ですか。

慢性に経過する腎炎のうちで比較的悪化することの多い腎炎です。適切な治療をしないと、診断してから10年後には約半数の症例が腎不全になるといわれています。しかし、現在は長期にわたって副作用について注意しながらステロイド剤を与えると、悪化するのを防ぐことができる場合もあり、さらに一部は蛋白尿や血尿も消失すると報告されています。膜性増殖性腎炎は、突然むくんできたり、食欲が減少したりして、尿検査をして蛋白尿や血尿のあることが分かって診断される場合が多いといわれていましたが、学校検尿によりひどい症状を呈する前に発見できることがわかりました。学校検尿で発見したものは比較的軽症のものが多く、ステロイド剤の効果も大きいことが知られています。
　この腎炎は血清C3やH50などの補体価が低下をすることが多いので、そのような所見があるときは一応この病気を疑います。最終的には、腎生検を行い、病理組織学的な検査をして診断を確かめます。

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ネフローゼ症候群とはどういう病気ですか。

3日以上続いて大量の蛋白がみられる病気をすべてネフローゼ症候群とよびます。蛋白質の量は1日3.5ｇ以上、または体重1ｋｇ当たり1日に0.1ｇ以上、あるいは起きたときにとった尿（早朝第1尿）で100ml当たり300ｍｇ以上です。また血清中の蛋白質の量が大幅に低下して、6.0ｇ／dl以下となり、血清コレステロールは250ml／dlに上昇し、比較的むくみを認めることが多いとされています。子どもに多い腎臓病です。
　小児領域では、その原因が不明なものが多く、このようなネフローゼ症候群を特発性（真性）ネフローゼ、またはリポイドネフローゼとよんでいます。このような原因不明のものは、ステロイド剤が有効なことが多いようです。薬の服用を止めると再発することがありますが、ステロイド剤を再投与するとまたよくなり、慢性の経過をとる傾向があります。
　ステロイド剤を投与して蛋白尿が消えてしまうような場合は、長く再発を繰り返しても腎不全に陥ることはまれです。一般に発病してから5年位経過すると約60％は、ステロイド剤の投与を中止しても再発しなくなり、10年位経過すると約80％の症例は再発しなくなるといわれています。しかし、10年以上も再発を繰り返すものもあるので、根気よく治療を続けることが大切です。
　一方、ステロイド剤を与えても蛋白尿が消えないネフローゼ症候群は進行性に腎機能が悪化して腎不全に陥ることが多いとされています。このような場合は大量の尿蛋白を排泄している慢性腎炎であって、治療や、生活指導は慢性腎炎に準じて行なうのがよいでしょう。

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ネフローゼ型慢性腎炎とはどういうものですか。

慢性腎炎のうちの一つの病型です。慢性腎炎の経過中、ネフローゼ症候群を呈するもので、強い蛋白尿とむくみのほかに、尿量が減少したり、血圧が上昇し血尿を認めることが多いようです。真性ネフローゼに比べるとステロイド剤の効果が少なく、病状が進行して悪化することもあり、長期間の治療が必要です。

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遊走腎とはどういうものですか。

この診断にはレントゲン検査が必要です。腎盂造影法による検査をしたときに、1つの腰椎の高さを1単位として、寝ているときと立ったときで、腎臓が1.5単位分以上位置を移動するものを遊走腎といいます。腎下垂や遊走腎があっても、血尿や蛋白尿がでるとはかぎりません。遊走腎とともに蛋白尿や血尿があった場合は、その他の原因を調べることが大切です。そしてほかに原因がみつからず、からだを動かしたときに、少量の血尿や蛋白尿がみられるときは、腎下垂でも遊走腎でも、食事や運動も制限する必要はありません。

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水腎症、水尿管症とはどういうものですか。

腎盂や腎杯が拡張してそのなかに尿がたまり、腎臓そのものは圧迫されてうすくなる状態を水腎症、尿管が拡張してそのなかに尿がたまっている状態を水尿管症といいます。拡張している部分より下の尿路に奇形、炎症、腫瘍、結石などがあって通過障害があるために起こります。尿路感染症を合併したり、腎機能が低下しなければ、無症状です。ひどく大きくなると、腹部に瘤のような固まりとしてふれることができます。泌尿器科で手術を行い、その後の管理は尿路感染症の発生を予防することが重点となります。

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膀胱尿管逆流現象とはどういうものですか。

腎盂腎炎を繰り返す子どもが、排尿時に、収縮した膀胱の圧で尿が尿管から腎盂のほうへ逆流するものを膀胱尿管逆流現象といいます。このような逆流現象がある子どもの数％に腎機能の低下がみられ、腎不全となるといわれています。したがって、尿路感染症を繰り返す子どもについては、膀胱尿管逆流現象があるかどうかを的確に診断し、これがある場合は、早期に適切な治療を行うことが大切です。

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腎不全とはどういうものですか。

腎機能が正常のおよそ50％以下になった状態を腎不全といいます。腎不全を診断する手がかりは、腎臓が悪いうえに貧血、等張尿（健康な人は水分を制限すると尿の比重は1.025以上になり、また多量にのむと1.002以下となりますが、腎不全の状態だといずれの場合も1.010前後に尿の比重が固定されます。この状態を等張尿といいます）と血圧上昇の3つの所見が認められるのが参考になります。腎臓病の人がなんとなく腫れぼったい、食欲がない、顔色が悪い、吐き気が続く、尿がうすく量が多い、あるいは皮膚に少しかゆみがある、口がアンモニア臭い、しゃっくりがよくでる、おできができやすいなどの症状を呈するときは注意しなければなりません。
　このような場合は、まず、血中の尿素窒素値とクレアチニン値を調べます。腎不全であれば、その値が著しく上昇しています。腎不全もあまりひどくないときは、適切な治療によって、腎機能はある程度回復するものですが、ひどいときは、腎機能の回復は困難です。腎不全は、放置すると死亡することもあるので、ただちに適切な治療が必要で、ひどいときには急いで腹膜透析や人工腎臓による血液透析を行うことが必要です。

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